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続きものの続き2
 こんにちは、ハロウィンの時期ですね。コカペプシです。

 なんだか分からないのですが、ハロウィンという言葉の響きが好きです。子供がお化けに仮装して家を回るのも、可愛らしくていいですね。やったほうもやられたほうもニコニコできそう。
 トリックオアなんとかかんとか。お菓子をざばぁっと投げて、「わははは!拾え~い!!」
 ちょっと違うか。なんかこれじゃあ家が建ったときの餅まきみたい。

 それでは今回のSSをば。前回の続きですね、少し展開が遅いですけど、のんびり見ていただけたら幸いです。







『婚約破棄のススメ』2




 僕は、思案していた。小さなコタツに足を突っ込んで、窓の外を眺めつつ、どうしたものかと考えをめぐらせていた。
 カサネと名乗る少女が家に上がりこんで数十分。今、彼女は暗い顔色のまま、部屋の隅で人形のようにへたり込んでいる。
 上がりこんで早々に、結婚できない理由をつらつらと並べ立て、僕がそうですねと頷くと、彼女は何やら勝ち誇った表情を見せた。
 そこまでは良かったのだ。
 別に僕自身、生まれてこのかた、婚約者がいるなど聞かされてはいないのだ。人の良すぎるいいかげんな父親だから、どこかでそんな約束を冗談のつもりでしたのだろう、そしてゲラゲラ笑いながら盛大に聞き流したのだろう。そういう人である。だから別に、彼女との結婚話が立ち消えようが、まぁ、こんな可愛い少女と結婚できるかもしれなかったのだ、残念でないといえばウソになるのだが、そこまでショックというわけではない。
 この場合、一方的な婚約破棄ということになるのだろうが、僕側としても十分に納得できていた。笑顔で了承ということで話はついたのだが。
 最後に、少女が持参した父からの手紙を僕に差し出したとき、それは起きた。
 ひとつの分厚い封筒だった。
 普通の茶封筒がカステラのように膨らんでおり、ズシリと重い。表に場島バンジュウ様へと書かれているところを見ると、コレは僕宛なのだろう。彼女に促されるまま恐る恐る封に手をかけてみるが、しっかりと糊付けをされているようで開きそうに無い。コナクソと、少し力を込めてみる。
 すると、よほど目一杯詰め込まれていたのだろう。まるでお菓子の袋のように、派手な炸裂音と共に封筒が破けてしまい、内容物が飛び出した。
「……」
 ――バサバサと茶色、茶色、茶色の紙幣が床に散らばり、小さな丘を造っている。僕は目玉をひん剥いて、言葉のひとつも出てきやしない。
 総額がいくらかなんてわからない。ものすごい数の万札があろうことか飛び出したのだ。
「ふん。何が入っているかと思えば……いったい何のつもりなのかしら」
 あうあうと口をぱくつかせていると、彼女は汚いものを見るような目のまま呟いた。
 震える手で札束を拾い上げると、破れた封筒からひらりと何かが零れ落ちた。
 手紙である。
 達筆な字で書かれた手紙を斜め読みしてみると、
「……あの、三年間はがんばれって書いてあるけど」
 そこには、確かに書いてあった。『PSカサネちゃんへ。旦那が18になるその日まで愛を育め。それまでは帰ってこなくてよし!』
 途中途中で水か何かをこぼしたのか、滲んでしまって読みにくかったが確かにそう書いてあった。
「……ちょっと貸してください」
 横から手紙を掠め取られ、しっかり読むことはできなかったが、どうやら向こうの親はどうしても僕と彼女を結婚させたいらしい。
 実父からの手紙を手にだんだんと青ざめる彼女の顔色を眺めていると、僕の中に、ふつふつと本当に可哀相だなという気持ちが芽生えてきた。
 そもそもが、親が勝手に決めた結婚である。話を聞くところ彼女はついこのあいだ中学を卒業したばかり。大人びた外見からは想像できないが、僕と同じ歳らしい。そんな少女が知りもしない男のところに無理やり嫁がされるわけだ。まだまだやりたいことはたくさんあるだろうし、これほどの美人である。これから素敵な出会いも山のようにあったかもしれないというのに。さっきの札束は当座の生活費とでも言ったところだろう。とにもかくにも気の毒としか言いようがない。
 ふと見ると、彼女は手から手紙を落とし、部屋の隅に崩れるように座り込んでいる。ぶつぶつと独り言を言いながら、畳を爪で引っかいていた。
 ――そんなこんなでそれが数十分前の出来事である。
 いじける少女を横目に僕は考えていた。こんなに頭を使ったのは初めてかもしれない。それくらい賢明に考え、ようやくひとつの答えを出した。
「あのさ、このお金でどこかに部屋を借りたら?」
 どうせ帰れないのなら、この金を使って一人暮らしをすればいい。がんばって考えた割には陳腐な答えだなと関係各所から失笑されそうだが、頭の良くない僕ではこんなもんである。
 だがやはりダメだったようで、彼女は俯いたまま首を横に振ると、窓の外を指差した。
 促されるまま外をのぞくと、
「……なんだ、あの黒服は。怖いんだけど」
 黒スーツにサングラス。この町には絶対になじめないであろう、あきらかに一般人ではない屈強そうな男がいた。目の前の十字路の隅、木製の電信柱に隠れるように立っている。
「……父の部下です。田舎町だからセキュリティに問題があるだろう、護衛を一人送ると手紙にありました」
 彼女の父としては、わが子を思ってのことだろうが、これではこちらの生活が筒抜けである。もし、彼女が一人で住もうとすれば、即座に面倒なことになるだろう。具体的にどうなるか想像つかないが、あれだけ大量の札束を送りつける親だ。十中八九、ろくでもないことになるだろう。
「きっと、アタシが逃亡するのを阻止する役目もあったんでしょう。それに、進学先もいつの間にか、この近所にある高校へと転入させられているようですし……」
 あの人は本気なのでしょうね。彼女は、そう力なく呟くとよりいっそう項垂れてしまった。
 と、なるとだ。僕の脳みそでは後ひとつくらいしか打開策が出てこない。もともと選択権が無かったようにも思うし、ほとほと面倒だが、仕方ないといえば仕方ない。むしろ一番可哀想なのは彼女なのだ。面倒だなんて口が裂けても言えないだろう。
「じゃぁ。いっしょに暮らす?」
 思い切った提案に、彼女は僅かに顔を上げると、
「……イヤだ」
 バカを見るような目で僕を見た。少しムッとしてしまう。
「でも、家に帰れないなら住むしかないだろ?別に夫婦になろうと言ってるわけじゃない、えっと、なんだっけ、あの友達同士で一緒に住むやつ」
「……ルームシェアのこと?」
「そう、るぅむしぇあ!それならおかしくないだろ」
 いつだったか、テレビで見た記憶がある。親族でない人同士がひとつの賃貸住宅に住み、各部屋ごとをプライベートルームにして……
「一部屋しかないのに?」
「あと、便所と風呂と押入れがある」
「押入れって、……ドラえもんじゃあるまいし」
 お嬢様でも、ドラえもんは知ってるんだ。さすが国民的アニメだ。なんて、妙なところで感心してしまう。
 少女はブーたれたまま柔らかそうな髪をいじり、口を尖らせた。
「だいたい、寝るところはどうするんですか。隣に男がいたんじゃ眠れません」
 なんで?と聞こうとして、僕は納得し口をつぐんだ。
 それもそうである。単純に彼女は身の危険を感じているのだ。僕にその気はなくとも相手は女の子なのである。
それならと、少し考えて僕は提案した。
「じゃぁ、僕が廊下で寝るってのはどう」
「……廊下?」
 廊下なんてあったかしら?彼女は首をかしげた。
「廊下っていうか、正確には玄関からこの部屋につながるところ。台所と、風呂・便所の間の床に寝るよ」
 それは一畳ほどのスペースなのだが、別に布団が敷ければどこでもいいやと、僕は考えたのだ。
「でも」
「それでも不安なら、六畳間のドアに鍵をつければいい。簡単なヤツならネジで付けられる。本当は大家さんに怒られるんだけど、この場合仕方ないよ」
 彼女は少し考えるようなそぶりを見せたが、何かを思いついたのだろう。はっとした表情の後、勝気な瞳を細めた。
「お風呂はどうするんですか。まさか、お風呂場に鍵をかければ済むと思っているんですか?」
「ダメなの?」
 僕の問いに、少女はもう一度口を尖らせた。
「ダメです。家族以外に湯上りの姿を見せるなんてだらしない」
「そういうもんなの?」
「そういうものなの!」
 よくわからない理論だが、彼女がイヤと言うなら仕方ない。
「それなら風呂に入っている間、僕は外に出てるよ。鍵も置いていくから玄関を閉めれば誰も入って来れないし、終わったら携帯に電話してくれればいい」
 持ってるでしょ。
 僕が自分の携帯電話を指差して、何か他に心配事はないですかと尋ねると、彼女は少しだけ時間をくださいと言い、そのまま黙り込んでしまった。
 こうなると手持ち無沙汰である。敷きっぱなしの布団にゴロリと寝転んで、大きく欠伸をしてしまう。僕は仰向けのまま、目だけを少女へ向けた。なにやらウンウンとうなりながら、口元に手を当て思案顔を見せる。綺麗な顔はどんな表情でも綺麗なんだな。僕の口元から少しだけ笑みがこぼれた。
「あのさ」
 僕が声をかけると、少女は僅かに顔を上げた。
「……なに?」
 態度や表情では気丈に振舞っていても、声に不安の色が隠せないでいる。そんな彼女にヒラヒラと手を振りながら、僕はアゴが外れんばかりの大欠伸。
「あふっ……そう肩肘張らずに気楽に考えればいいよ。ふぁあ~っふ。暮らしてみて、イヤだと思ったところはできる限り改善するし、協力する」
 そんなお気楽な態度に、彼女は観念したのだろうか。いや、決して観念してはいないだろうが、一度大きく溜息をついた。
「……何かしたら、アタシ、大声出します」
「そりゃ気をつけないと」
「本気ですよ、空手も習ってたから、とっさに手が出るかもしれません」
「おぉ、怖い怖い。僕はずっと帰宅部だからボコボコにされるだろうね」
「真面目に聞いてください!」
 彼女は、声を荒げて畳を叩いた。寝転がったままおどけた様子で受け答えする――そんな僕の態度が気に食わなかったのだろう。
 まぁ、彼女の苛立ちは分かる。分かるけど、世の中なるようにしかならない。自分がどれだけ足掻こうと、どうにもならない流れが世の中にはある。あの時だって……。
 一人暮らしをするきっかけを思い出し、僕の心臓は悲しく震えた。少しの間のあと、僕は上半身を起こし、彼女の顔を見据えて、
「……真面目だよ」
 ほんの僅かな八つ当たり。我ながら珍しく出した真面目な声色に、少女は身構えたようだ。彼女の息をのむ音が聞こえる。
「え~っと、竜造寺さんだっけ。正直アンタのおかれた立場は、気の毒だと思う。そんな若さで嫁に行けなんて酷すぎる。しかも、本人の意思なんてお構いなしにだ。他人の親にこういうのもなんだが、アンタの両親はどうかしてるとしか思えない。怒りすら覚えるよ」
「……」
 そこまで言うと、ぐっと下唇を噛んで彼女はまたも俯いてしまった。
 トラウマから来るイライラを関係のない彼女にぶつけてしまうなんて、本当に格好悪いことをしてしまった。反省しながら僕は後頭部をかきむしると、
「でもまぁ、こうなったもんは仕方ないよ。なるようになるし、頃合を見計らって帰ればいい。僕がどれだけクズで、どうしようもない男かを力の限り訴えればいい」
 もしかすると、婚約を解消できるかもしれない。取り繕うように、ニヘラとしまりのない顔で笑ってみせた。と、同時に唐突だが腹が鳴った。
 もちろん僕の腹の虫である。そういえば、起きてから何も食べていない。
 よっこらしょと起き上がり、なにかあっただろうか、台所にある戸棚をまさぐってみると、袋入りの即席麺が二つでてきた。
「僕は今から昼飯だけど、食べる?」
 こんなときに、何も喉を通るはずがない。そうは思ったが、少女の腹が減ってないとも限らない。そんな彼女の前で一人だけずるずると麺をすするわけにもいかないだろう。
「……いりません」
 少女も、そう履き捨てるように言いはしたが、……どこからともなく僕のものとは違う腹の音が聞こえた。
「っ!」
 慌ててかばうように腹を押さえてはいたが、もう後の祭りである。人も殺せるような目つきで睨んでいる目の前の少女へと、片方の即席麺を突き出した。
「とんこつしかないけど」
「馴れ合いはしません!」
 そう、口角泡を飛ばしながら少女は吼えたが、……もう一度腹が鳴った。
「っ!……あぁもう!」
 首筋まで真っ赤に染めて、少女は泣きだしそうな顔になった。そんな顔をされると、僕はとたんにふき出してしまう。
「ううう、笑うなっ!」
 犬歯をむき出しにして、彼女は歯軋りして見せた。
「じゃぁ、二人分作るからさ、コタツの上を片付けてよ」
 ふつふつと沸きあがる笑みを必死にかみ殺しながら、鍋に火をかけて、僕は即席麺の袋を開けた。


 つづく



 一緒に住むようになるまでが長そうですね。いろいろと書くこと多くて。

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続き物「婚約破棄のススメ」② | 11:11:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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