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どこかで見たコカ

Author:どこかで見たコカ
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自作3つ目
 こんにちは、コカです。
 最近思うところがあって、突発的に部屋の大掃除をやったのですが、いやぁコレがまた白熱しました。出てきたゲームボーイが面白いのですよ。気付いたら掃除そっちのけでワリオランドやってました。
 その後、日が暮れたくらいに一息ついて、部屋の惨状を見て我にかえり、「……あ」ってなったのは良い思い出です。

 ここで突然話はコロリと変わりますが、紹介が遅れると申し訳ないので。
 ……なんと!アガタさんが自作1をマンガにしてくれましたよ!
 その作品がこちら
 なんつー可愛く描きなさるのだ……。女ちゃんが可愛いすぎて、コカは朝早く起きることができそうにありません。
 これからも色々と描いていただければありがたいなと、要所要所でアガタさんをチラ見していこうと思います。
 このたびは、本当にありがとうございました。

 それではこの辺で今日の自作小説をば。
 




『L'Oiseau bleu』



 私が教室の扉を開ける頃には、すっかり辺りは夕暮れ時をむかえていた。
 どうしてだろう。手をかけた扉はいつもよりひんやり冷たくて、そして重たくて、今の私には少し辛い。それでも頑張って開けると、そこには当たり前のようにアイツがいた。
 橙色の日を浴びた、見慣れた学ランに黒縁のメガネ。目にかかるくらいの前髪を気にしつつ、いつも通りの仏頂面を私のほうへと向けてくる。
「なんだ、まだ居たの? ハチ」
 近づきながら悪態をつく。そんな私に、それはこっちのセリフだとアイツは口元を僅かに緩め、
「これがちょうど良い所でさ」
 口元まで上げた手には分厚い本が握られていた。強い茜色の光が逆光となり、よくよくタイトルは見えなかったけど、見えたところで私に分かるものでもないだろう。
「面白い?」
「あん? まぁまぁ」
 ふぅん。と、私が気の無い返事をすると、ハチは「よし」と言葉を放ち、厚手の本を優しく閉じた。そして、隣に腰掛けた私の顔をのぞきながら、澄んだ瞳を向けてくる。
「で、どうだった?」
 どうって……どう答えればいいのだろうか。おそらくは今回の成果を聞きたいのだろうけど、正直なところ胸を張って言えるようなものではない。
 視線から逃れるように二度三度と視線を泳がし、たまらず突っ伏してしまう。そんな私に何かを感じ取ってくれたのだろう。「そうか」と一言だけ、ハチは悲しげに呟いた。
 ひんやりとした机の感触をその頬で感じながら、私は意味もなく低く唸り声を上げる。
「そう落ち込むなって」
 私の頭を優しくなでながら、ハチはいつもの様に慰めてくれる。
「あの先輩は、きっと後悔するよ。お前みたいな良い奴、そういないからな」
 本当よ。普段ならそう気丈に言い返すところだけど、残念ながら今の私にそんな元気は微塵も無い。
 これでいったい何度目だろうか。昔から惚れっぽい私は恋だの愛だのに振り回され続け、今日も今日とて連敗記録を更新し続けている。
 そのつど今のように打ちひしがれるわけだが、そんな時、決まって隣にはコイツが居た。
 一番古い記憶は保育園のとき。確かそのくらいの時期からだろう。私の後をついて周り、皆から忠犬ハチ公とコイツが呼ばれはじめたのは。
 そのあだ名をハチはどう思っているかは分からない。でもイヤな顔ひとつせずに、小中高と私の愚痴を聞いてくれて、毎回やさしく慰めてくれる。もしかしたら、何度玉砕してもすぐに立ち直れるのはコイツのおかげかもしれない。手痛く負った失恋の傷を、誰よりも上手に、かつ迅速に修復してくれているのではないだろうか。
 今日だって、きっと私の帰りを待っていたのだろう。そしてもし、私の告白が成功したのなら、微笑んで何も言わず立ち去るのだろう。
 不覚にもコイツの暖かさにグスリと鼻が鳴り、よしよしと、まるで子供をあやすようにハチは優しく頭をなで続けてくれた。

 それからどれくらいの時間が経ったのだろう、私が顔を上げると窓の外は赤紫色にくすんでいた。どうやらウトウトと舟を漕いでいたらしい。見ると、ハチはさっきと変わらない位置でページに目を落とし、本の世界へと旅立っている。
 帰ろうかとも思ったが、特にこれといった用事は無い。ぼんやりとした視線の先をアイツの横顔に固定して、時折光るメガネのレンズを目で追いかけた。
「……何読んでんのよ」
 がらんと静まり返った教室に、私の声が静かに響く。
「メーテルリンクっていう人の本」
 アイツは本を机に置くと、軽快に首を鳴らし、次に肩、最後に大きく背を伸ばし背骨の音を鳴らした。
 うるさいわね。まるで中年のようなハチに溜息をこぼし、本へと目を移してみると、どうやら洋書のようで、革張りの表紙にはアルファベットで題が打ってあった。
「える、おいせあう……」
 恐らくは題名なのだろうが、なんて書いてあるかちんぷんかんぷんである。
「ロワゾブルーって読むんだよ」
 そんな私に、ハチは頭をかきながらはにかんだように笑った。
「まぁ、僕も訳しながらだからまだ内容は把握しきれてないけどさ」
 なによそれ。私が呆れたように息を漏らす。
「読み終わったら貸そうか?」
「いい、後で内容だけ教えて」
 わかった。ハチはそう言って、本を鞄へと詰め込み立ち上がった。
「あ、それと、もしさ、もし僕が」
 そして、何か言いたそうに私の顔を見て、
「……やっぱいいや、帰ろうか」
 もう一度、私の頭を優しくなでてくれた。



 おわり


 ハチじゃないですが、小学生の頃、キュウというあだ名の同級生は居ました。なぜキュウなのかはそういえば知りません。いや、特にどうということではありませんが、思い出したので。

 
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テーマ:オリジナル小説 - ジャンル:小説・文学

自作3「L'Oiseau bleu」 | 00:19:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
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